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残存耐用年数と融資期間の関係をわかりやすく解説

2026-07-22 ・ ユーシトル編集部

不動産投資で物件を検討していると、「残存耐用年数が短いから融資期間が伸びない」という話をよく耳にします。特に築古物件では、この耐用年数が融資期間を左右し、結果として毎月の返済額や収支に大きく効いてきます。

この記事では、そもそも残存耐用年数とは何か、なぜ融資期間と関係するのか、そして実務でどう扱えばよいのかを、できるだけかみ砕いて整理します。融資は「物件」「自分の属性」「金融機関の方針」の3つがかみ合って通るものですが、残存耐用年数は主に「物件起因」の論点として、打診先を選ぶうえでの重要な手がかりになります。

残存耐用年数とは?まずは法定耐用年数から

残存耐用年数を理解するには、まず「法定耐用年数」を押さえる必要があります。

法定耐用年数は構造ごとに決まっている

法定耐用年数とは、税務上、建物などの資産を何年かけて減価償却するかの基準として定められた年数です。建物の場合、構造によっておおよそ次のように定められています。

  • 木造:22年
  • 軽量鉄骨造:一般に27年程度(鉄骨の厚みによって異なる)
  • 重量鉄骨造(S造):34年
  • 鉄筋コンクリート造(RC造)・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造):47年

これは住宅用建物の目安です。【要確認:軽量鉄骨は骨格材の肉厚によって19年・27年・34年などに分かれるため、実際の物件では構造の詳細を確認する】

法定耐用年数は税務上の減価償却の基準ですが、後述するように、金融機関が融資期間を考える際の目安として参照する傾向があるとされます。

残存耐用年数=法定耐用年数−経過年数

残存耐用年数とは、この法定耐用年数から、すでに経過した築年数を差し引いた「残りの年数」を指します。

たとえば、法定耐用年数47年のRC造マンションが築20年であれば、単純計算で残存耐用年数は「47−20=27年」です。木造(22年)で築15年なら「22−15=7年」になります。

つまり、築年数が経つほど残存耐用年数は短くなり、法定耐用年数を超えた物件(耐用年数オーバー)では、この単純計算だと残存年数はゼロ以下になります。この「残りの年数」が、次に説明する融資期間の話につながります。

なぜ残存耐用年数が融資期間と関係するのか

ここが本題です。多くの金融機関は、投資用不動産への融資期間を考える際に、建物の残存耐用年数を一つの目安にする傾向があるとされています。

「融資期間は残存耐用年数の範囲内」という考え方

背景にあるのは、「建物の価値が残っている期間内で返済してもらう」という考え方だと説明されることが多いです。建物は年々古くなり、担保としての価値も下がっていくため、その価値が残っている間に返し終えてほしい、という発想です。

この考え方に立つと、残存耐用年数が27年ある物件では最長でそれに近い融資期間が期待できる一方、残存耐用年数が数年しかない物件では、希望する長期の融資が取りにくくなります。【要確認:融資期間の決まり方は金融機関ごとの内部基準によるもので、公表されていない。ここでの説明はあくまで一般的に語られている考え方であり、すべての金融機関に当てはまるとは限らない】

融資期間が短いと収支はどう変わるか

融資期間の長短は、毎月の返済額を通じて収支に直接効いてきます。借入額と金利が同じでも、返済期間が短くなれば、その分だけ毎月・毎年の返済額は大きくなります。

たとえば同じ借入額でも、返済期間が30年か15年かで、月々の返済負担は大きく変わります。期間が短いほど返済額は増え、家賃収入から返済を引いた手残り(キャッシュフロー)は薄くなります。築古物件で「利回りは高いのに手元にお金が残らない」と言われることがあるのは、融資期間の短さが一因になっているケースがあります。

耐用年数オーバーの物件はどう見られるのか

法定耐用年数を超えた、いわゆる「築古・耐用年数オーバー」の物件は、不動産投資では珍しくありません。こうした物件の融資はどう考えればよいのでしょうか。

「オーバーだから絶対に融資が付かない」わけではない

残存耐用年数が単純計算でゼロ以下になる物件でも、融資がまったく付かないとは限りません。金融機関によっては、独自の考え方で融資期間を設定する場合があるとされます。たとえば、法定耐用年数とは別の基準で建物の使用可能年数をとらえたり、耐用年数の考え方そのものが他行と異なったりするケースです。

重要なのは、耐用年数の扱いは金融機関によって傾向が異なるという点です。同じ築古物件でも、A行では期間が短く提示され、B行ではより長い期間で検討できる、ということが起こり得ます。これは物件起因の論点でありながら、「どの金融機関に当たるか」という方針起因の論点とも重なります。

木造とRC造では前提が変わる

同じ「築古」でも、構造によって残存耐用年数の前提はかなり違います。法定耐用年数が22年の木造と、47年のRC造では、同じ築年数でも残存年数が大きく異なるためです。

築25年で比べると、木造は法定耐用年数を超えている一方、RC造ならまだ20年以上の残存年数が計算上残ります。物件を見る際は、築年数だけでなく「構造×築年数」で残存耐用年数を把握しておくと、現実的な融資期間の当たりを付けやすくなります。

実務で残存耐用年数とどう向き合うか

ここまでの内容を、物件選びと融資打診にどう活かすかを整理します。

物件検討の段階で融資期間を見積もっておく

物件を見つけたら、構造と築年数から残存耐用年数をざっくり計算し、「この物件でどのくらいの融資期間が現実的か」を早い段階で見積もっておくと、収支のシミュレーションが具体的になります。融資期間を長めに想定してしまうと、実際の提示条件とのギャップで計画が崩れることがあります。

自己資金でカバーする発想を持つ

融資期間が短くなりそうな物件では、自己資金を厚めに入れて借入額そのものを抑えることで、毎月の返済負担を下げる方向が考えられます。期間が取りにくい分を、借入額のコントロールで補うという発想です。どの程度入れるかは、手元資金とのバランスで判断することになります。

「耐用年数の考え方が合う金融機関」を探す

前述のとおり、耐用年数の扱いは金融機関ごとに傾向が異なります。だからこそ、築古物件では「どの金融機関がこの構造・築年数の物件に前向きか」という情報が武器になります。

この情報は、打診を重ねるなかで少しずつ蓄積されていくものです。たとえば次のような内容を、打診のたびに記録しておく価値があります。

  • 打診した金融機関・支店・担当者
  • 物件の構造・築年数・エリア・価格
  • 提示された融資期間、または短くなった理由
  • その理由は「物件起因(耐用年数)」なのか「方針起因」なのか

こうした記録がたまると、「築古RCならあの金融機関」「木造築古はこの構造だと厳しい」といった、自分だけの当たり先マップができあがっていきます。

まとめ

残存耐用年数と融資期間の関係を整理すると、次のようになります。

  • 残存耐用年数は「法定耐用年数−経過年数」で、築年数が経つほど短くなる
  • 多くの金融機関は、融資期間を残存耐用年数と関連づけて考える傾向があるとされる
  • 融資期間が短くなると毎月の返済額が増え、キャッシュフローが薄くなりやすい
  • ただし耐用年数の扱いは金融機関ごとに異なり、耐用年数オーバーでも融資の可能性はゼロではない

築古物件を検討するときは、構造と築年数から残存耐用年数を把握し、現実的な融資期間を見積もったうえで、その物件の耐用年数の考え方に合う金融機関を探すことが鍵になります。そして、どの金融機関がどんな物件に前向きだったかを記録しておくことが、次の打診を効率化する土台になります。


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